ストロベリー -いちご-

貧血や美肌効果。

いちごは、オランダいちご、きいちごなどの総称ですが、一般にオランダいちごのことを指します。 1492年のコロンブスによるアメリカ大陸発見後、アメリカ大陸の野いちごがヨーロッパヘ伝えられ、品種改良が重ねられて、17世紀に現在のいちごができたとされています。日本へは、江戸時代の天保年間(1830年頃)、オランダから長崎に渡来したため、オランダいちごという名が付けられました。学名のFragaは、ラテン語のfragre(香る)より由来しており、ananassaはパイナップルの意味ですから、「パイナップルのような香り」の果物という意味が込められているようです。英語のstrawberryは、berry(実)とstraw(stray=あちこちへ移る)の意味で、つるがあちこちへ向いて走ることから、由来していると思われます。

ミネラルとしては鉄分を、ビタミンはCを多く含んでいるので、貧血に効果があり、血色のよい顔色を作ります。また美肌効果にも優れています。甘味は主にブドウ糖と果糖で、酸味はリンゴ酸や、クエン酸などの有機酸です。有機酸は胃液の分泌を促進させる働きがありますし、ブドウ糖や果糖は、エネルギー源になるのですから、食欲不振や全身倦怠感には、大変効果的な果物です。

二日酔に奏功、 なんと強壮作用も。

古くから、解熱・去痰作用があることが知られており、風邪・気管支炎などの呼吸器病にも有効とされています。また、口の渇きを癒し、利尿作用にも優れているので、二日酔やむくみにも奏功します。さらに、肝細胞の働きを賦活し、強壮作用も有することがわかっています。いちごの赤い色(アントシアニン系色素)は、ジャムを作るときにレモン汁を加えると、一層赤く美しくなります。食べること以外の使い方としては、歯ブラシにいちごを乗せて磨く方法があります。歯の汚れ、黄ばみ、歯槽膿漏の予防に効き目があり、ヨーロッパではよく知られています。

お酒の好きな方におすすめなのがいちご酒です。いちご1kgと35度の焼酎1.8Lを広口びんに入れ、氷砂糖1kgを加えて漬けて、3週間密封しますと、甘くておいしいいちご酒ができあがります。就寝前に、お猪口1~2杯飲むと、滋養、強壮・補血作用を発揮してくれます。 (石原結實)

柑橘類

生活習慣病の予防に欠かせない「機能性成分」の数々。

柑橘類の品種としては、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、夏みかん、冬橙、伊予柑などですが、ジャム類では、主としてマーマレードの原料として使用されます。これら柑橘類には、豊富なビタミン、ミネラル、食物繊維、そして人の生活習慣病の予防に欠かせない、いわゆる「機能性成分」の数々が含まれています。

この生活習慣病は、かつては成人病といわれていましたが、食習慣、喫煙習慣など生活習慣が原因になることがわかってきたため、このような名称で呼ばれることになったのです。柑橘類には、ビタミンCを始め、ヘスペリジン(ビタミンP)、リモノイド、ペクチンなど生活習慣病予防に役立つ成分がいっぱい含まれています。

臓器ガン発生リスク低下の「疫学研究」、発ガン抑制効果を示す橙色色素も。

柑橘類摂取とガンの関係については、世界では50数例も「疫学研究」が行われていて、柑橘類を食べることが口腔、胃、食道、肺などの臓器にガンが発生するリスクを下げていることが明らかになっています。柑橘類を含めた果物の健康増進効果は、とくにアメリカやヨーロッパでは高く評価されています。

生活習慣病の撲滅を目指して活動をしている「対ガン協会」や「心臓病協会」といった団体では、「果物や野菜の摂取で、ガン予防や心臓病の予防を」といったキャンペーンを展開。その結果、アメリカでは果物の消費が増え、ガンの罹患率、死亡率の上昇に歯止めがかかり、減り始めてさえいます。そして、「柑橘などの果物や野菜の摂取で、生活習慣病の予防を!」は西欧諸国では人々の常識になりつつあるのです。アメリカなどでは「ガン、心臓病、高血圧の予防に1日5盛りの果物と野菜を」といったキャッチフレーズが盛んに使われています。

さらに最近、柑橘類の橙色色素(β‐クリプトキサンチン)が、発ガン抑制効果を示すことが動物実験などから明らかになりました。柑橘類は、このβ‐クリプトキサンチンを摂るのに最も手近な果実といえるでしょう。

ブルーベリー

20世紀生まれの新鮮な果実、 注目の「アントシアニン色素」

ブルーベリーは、ツツジ科スノキ属に分類される北米原産の低木性果樹です。その果実がエレガントなブルーになり収穫されることからブルーベリーと呼ばれています。今世紀初頭から改良がすすめられた20世紀生まれの果実で、ブルーベリージャムが国内で店頭に並んだのは1970年代の後半からという、文字通り新鮮な果実です。成熟した果実は、濃い青紫色になりますが、これは、アントシアニン色素と呼ばれ、水溶性の色素です。このアントシアニン色素が、眼によい効果があると最近一躍注目を浴びています。

「薄明かりの中でも物がはっきり見えた!」夜間飛行のパイロットが証言。

ことの起こりは、第2次世界大戦中に始まります。あるイギリス空軍のパイロットが、ブルーベリージャムが大好物で、毎日、パンの厚さと同じくらいブルーベリージャムをたっぷりつけて食べていました。そのパイロットが、夜間飛行、明け方の攻撃で「薄明かりの中でも物がはっきり見えた」と証言したのです。その話から、イタリア、フランスの学者が研究を開始、その結果、野生種のブルーベリーのアントシアニン色素が、人間の眼の働きをよくする効能があることがわかったのです。

人間の網膜には、ロドプシンという紫色の色素体があり、このロドプシンが光の刺激を脳に伝え「物が見える」と感じているわけです。ところが、眼を使っているとロドプシンは徐々に分解されてしまいます。また、年をとることによってだんだん減少していくこともわかりました。研究の結果、アントシアニン色素を摂取すると、このロドプシンの再合成作用が活性化されることが判明したのです。つまりアントシアニン色素によりロドプシンの再合成が活発になれば、眼の疲労がとれ、視野がぐっと広がり、夜間でも暗闇に目が慣れる時間が著しく早くなるという効果が現れてくるわけです。

パソコン、TVゲーム、眼の酷使に速効性、ヨーロッパでは医薬品として製造。

その後も研究は進み、アントシアニン色素を摂取後、4時間後に効果が現れ、24時間持続することが確認されています。かなりの速効性が期待できるのです。副作用も全くないこともわかりました。天然の果実に含まれる色素ですから安全なわけです。

会社や学校でのコンピュータなどOA機器の導入やTVゲームなどの普及、勤務時間の変化、あるいは受験勉強や夜間長距離運転による目の酷使など、現代のさまざまな眼精疲労や眼の疲労感にはとくに有効といえます。また、網膜の機能性低下や白内障を防ぎ、糖尿病が原因の眼の病気予防にも役立ちます。

ヨーロッパでは、多くの研究、臨床試験が重ねられ、1976年イタリアで初めて医薬品として製造が承認されました。その後もヨーロッパをはじめニュージーランド、韓国など、多くの国で色素を抽出した粉末や錠剤が、医薬品として広く利用されています。

青紫色に秘めた、強力な抗酸化作用。

ブルーベリーが人間の眼に効くという以外に、強力な抗酸化作用があることが注目されています。ガンや脳卒中など、成人病の発病、あるいは老化やさまざまな症状には、かなりの割合で活性酸素が関与しているといわれます。この過剰に発生した有害な活性酸素を抑える働き(抗酸化作用)、または活性酸素を消去する作用を、ブルーベリーのアントシアニン色素が強力に持っていることが実証されたのです。

この色素の抗酸化性を、ビタミンE、茶タンニンなどと比較した最近の研究の結果、ブルーベリーのアントシアニン色素は、これらに匹敵するか、または上回る強い活性があることがわかりました。米国農務省に属する栄養研究所の発表によると、米国産の43種類の果実と野菜の抗酸化作用を比較したところ、ブルーベリーが最高値を示し、ナンバーワンであることも証明されました。活性酸素と深い関わりのある種々の疾患、たとえばガンや自己免疫疾患、心臓血管系疾患などの予防、改善、また老化防止などに有効であると期待されます。

まだまだいろいろな働きがいっぱい!

また、アントシアニン色素は、人体のコラーゲン(組織を維持する体内のタンパク質)を基質とした結合組織、たとえば軟骨部や靱帯、腱(ともに筋肉と骨とを結びつける組織)などを強化する働きがあります。それに加えて炎症が起こっている結合部分で、コラーゲンを破壊する酵素(体内での化学変化を促進する物質)を阻害して、コラーゲンの合成を促進するので、傷の回復を早める役割もあります。そのうえ、筋肉をリラックスさせる作用があって、月経時の痛みや不快感の軽減にも役に立つとされています。女性の悩みを解消する秘薬ともいえるでしょう。

さらに、このアントシアニン色素にはビタミンPのような作用があるといわれています。ビタミンPは、毛細血管の抵抗性を高め、毛細血管から血がにじみでる性質、すなわち毛細血管透過性を抑制する作用があることが知られています。毛細血管を強化することにより、脳内などでの血管の損傷を防いでいるのです。加えて、血液の成分の一つである血小板が凝固することを抑制するので、血液をさらさらにして、血管の老化や循環障害を改善してくれます。

豊富な食物繊維含有量。

この他、ブルーベリーの果実成分の中で注目すべきは、食物繊維の量が極めて多いことです。そもそも果実は食物繊維を多く含んでいるのですが、中でも多いといわれているキウイフルーツやバナナをはるかに上回る果実中最高の食物繊維を含んでいるのがブルーベリーです。



日本ジャム工業組合
〒101-0042 東京都千代田区神田東松下町10-2 翔和神田ビル3階
参照元:「原材料」